コラム② 成年年齢の引き下げと養育費の支払終期について
2022年4月1日から「民法の一部を改正する法律」が施行され,成年年齢が18歳に引き下げられます。
成年年齢が18歳に引き下げられれば,養育費は18歳までしか支払われなくなる,または,18歳以降は養育費を支払う必要がなくなるのでしょうか。
既に離婚して養育費を受け取っている方や支払っている方,またこれから離婚を考えている方も,成年年齢の引き下げと養育費の関係について関心のある方は多いのではないかと思います。
1 すでに離婚して養育費の取り決めをしている場合
夫または妻と離婚した際に養育費の支払について約束を交わし,養育費の支払終期を「20歳に達する日の属する月まで」「22歳に達した後初めて迎える3月まで」などと明確に定めている場合は,成年年齢が18歳に引き下げられたとしても,特に影響は受けません。
また,養育費を「成人まで」支払うと約束していた場合でも,約束した当時の成年年齢が20歳であった以上は,養育費が20歳まで支払われることが想定されていたと言えるので,特殊な事情がない限り養育費は20歳まで支払われると考えるべきです。
2 これから養育費の取り決めを行う場合
それでは,成年年齢が18歳に引き下げられた後に離婚する場合は,養育費の支払終期も18歳になると考えるべきでしょうか。
成年年齢を20歳とする改正前の実務においても,養育費の支払終期は必ずしも成年年齢とは連動せず,子の年齢,進路に対する意向・能力,両親の経済状況,両親の学歴等から,将来のどの時点をその子どもが経済的に自立すべき時期と考えるかによって決定されてきました。
例えば,子どもがまだ幼い場合には,その子が将来的にどの時点で経済的に自立できるか分からないため,通常子どもが経済的自立を期待される20歳を養育費の支払終期とするケースが多くみられました。他方で,子どもが一定の年齢に達しており,大学等に進学する可能性が高い場合には,一般的に大学を卒業すると予想される時点,すなわち22歳に達した後に初めて迎える3月までが支払終期とされるケースが多くありました。
成年年齢が18歳に引き下げられた後もこの考え方に変更はないと予想されます。したがって,成年年齢が18歳に引き下げられたとしても,養育費の支払終期は20歳や,22歳に達した後初めて迎える3月までと判断される可能性が高いでしょう。
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